【2024年度】第2回上場を目指すための企業成長セミナー「株式上場のリアル」を開催いたしました!
※2024年8月30日に開催を予定していた、第1回上場を目指す方のための企業成長セミナー「株式上場とは」は、台風のため延期となりました。
2024年9月20日、鹿児島大学 稲盛会館 キミ&ケサ メモリアルホールにて、上場を目指すための企業成長セミナー「株式上場のリアル」を開催いたしました。
最近の上場動向と上場によるメリット
(株) 東京証券取引所 岡野 豊氏
第1部は「最近の上場動向」というテーマのもと、(株) 東京証券取引所の岡野 豊氏を講師に迎え、IPO企業の規模比較や業種比較、地域別のIPO件数推移など、具体的な数値をもとに、現在の上場を取り巻く環境についてお話しいただきました。IPO経営者へのインタビュー結果から、「知名度や信用度の向上」や「資金調達力の向上」については、上場前の期待と同程度の効果が上場後に得られており、「人材の確保」や「従業員の士気向上」については、上場前の期待を超えた効果が得られているようです。さらに、「社内管理体制の強化」についてが、上場前の期待を超えて、経営に大きな恵みをもたらしているようです。
岡野氏は、「IPOはゴールではなく、上場会社としてのスタート。上場後も投資家と誠実に向き合いながら、株式市場の力を活用して、企業の持続的な成長を実現されることを願っています。」と締め括られました。
「知名度や信用度の向上」「資金調達力の向上」「人材確保」など、上場することで得られるメリットだけでなく、上場する過程そのものからメリットが発生することがわかりました。上場を目指すために強化した社内管理体制が思わぬ好転をもたらすかもしれません。
第2部は、実際に上場した経験談を3名の方に語っていただきました。
上場で叶える事業承継と発展
(株) 西部技研 代表取締役 社長執行役員 隈 扶三郎氏
まず初めに、お話いただいたのは、2023年10月に上場した (株) 西部技研 代表取締役 社長執行役員 隈 扶三郎氏。創業53年目でIPOチャレンジを決断したという隈氏ですが、九州で空気環境創出に力を注ぎ50年以上、海外に複数ものグループ企業をもつメーカーが、IPOに挑戦する事例は極めて稀と言えるでしょう。上場の大きな目的となったのは、事業承継について。長く続いた企業だからこそ、これからもずっと技術を承継していきたいという思いを抱き、上場を決意した隈氏。
上場するにあたって、様々な審査項目をクリアせねばなりません。開示体制や予算計画及び管理、内部監査を行う人材確保など、社内体制を大きく変化させ、狙いであった事業承継とさらなる発展を実現させました。隈氏は、これまでの体制から完全に脱却し、2026年末までに、上場会社としての連結運営対策をグループ再編も含めて、名実ともに整えていくと語ってくださいました。
まさに、1部で岡野氏が述べた「IPOはゴールではなく、上場会社としてのスタート。」上場を起点として、さらなる躍進に向け奮闘する企業の様子がうかがえました。
「上場にはメリットしかない!」飛躍する知名度 上場で営業を円滑に!
(株)ビジョン 代表取締役会長 CEO 佐野 健一氏
続いて、「佐野ができたんだからみんなできる!」と高らかに語ったのは、グローバルWiFi事業や情報通信サービス事業を主とする(株)ビジョン 代表取締役会長 CEO 佐野 健一氏。一度は、「数字に追われて営業の質を落としたくない」と、上場をしない選択肢を取ったという佐野氏。しかしながらも上場への道を選ぶことになったのは、法人向けサービスを主とするが故に、個人からの知名度が向上しないことが理由でした。マーケティングコストとして上場を決意し、社会的地位を確立することを成功させました。佐野氏は、一番喜んでくれたのは営業担当。上場することで自信を持って営業ができ、お客様も信頼してくれる。社員がプライド・自信を持ってくれたこと、お客様がそれを受け入れてくれたことが成長を加速させたと語ってくださいました。
上場が与える知名度や信頼は、対外的な価値基準だけでなく、社員のマインドにも大きく影響を与えることがわかりました。上場によって円滑な経営へと繋がったケースをうかがうことができました。
「やりたいことが大きいほど上場に向いている」
(株)チェンジホールディングス 代表取締役兼執行役員社長 福留 大士氏
そして、3人目に登壇したのは、デジタルの力で社会の問題を解決する、(株)チェンジホールディングス 代表取締役兼執行役員社長 福留 大士氏。社名ともなる「チェンジ」をキーワードに、「上場に向いている企業」について語ってくださいました。
どのように世の中に役に立つか、自分が何をしたいかが大事。何をどこまで達成したいかを深く問いかけられるのが上場する前後。やりたいことが大きければ大きいほど、抽象度が高いほど、上場に向いていると語りました。「やりたいこと」のスケールが大きいほど、多くの資金が必要になります。上場することで信頼を得て、資金調達の手段を増やし、さらに仲間を増やして夢に向かっていくことができると語ってくださいました。
「夢を叶える手段」として上場を活用することを提案された福留氏。上場によって得られる信頼や資金は、飛躍に向かう大きな武器となります。上場の先に、よりスケールアップした世界が待っていることがうかがえるお話でした。
皆様同じく上場経験者として登壇していただきましたが、それぞれ苦悩や志は多種多様。実際に上場されたお三方のお話を聞くことで、「上場」を多角的に捉えることができました。
「時価総額は通信簿」 上場で変わる企業の姿
第3部では、基調講演をしていただいた隈氏、佐野氏、福留氏のお三方に「IPO」を題材にパネルディスカッションを行なっていただきました。初めの議題となった「上場している現在と、上場する前の大きな違い」では、上場することで得られたもの、変化したものについて語ってきただきました。
隈氏は、長年続いてきた企業というバックグラウンドを元に「地道にやっていこうという姿勢から、どんどん成長させていこうというマインドの変化があった。大きな絵を描けるようになった。」と語りました。
佐野氏は、「上場することで市場とコミットしなければならず、それによって相乗効果が得られる。時価総額は通信簿のようなもの。」
福留氏は、「上場せず、自分たちだけで考えていくのに比べて、同じ時間で成し遂げられることの規模が全く異なる。」と語りました。
上場せず、自社内で立てる目標に比べ、上場して外部から刺激を受けることで、マインド、目標、様々な面からより高い視座で事業を組み立てることが可能になるようです。
さらに、お三方には、上場準備の苦難や、上場する際に大事なポイントなど、経験者だからこその視点で熱く議論を交わしてくださいました。
社会と大学をつなぐ 研究シーズ
国立大学法人鹿児島大学 南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット 准教授の中武 貞文氏
最後に、国立大学法人鹿児島大学 南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット 准教授の中武 貞文氏が登壇し、研究シーズの紹介をしてくださいました。鹿児島大学らしいベンチャー・スタートアップの創出、成長環境を整備し、上場を目指す企業が一社でも増えることを目指したいと目標を掲げ、大学の社会貢献支援において、社会と大学、研究者を繋ぐ活動について語ってくださいました。